娘が昨年結婚し、子供が独立したことで、夫婦二人の生活が始まりました。
以前、娘と話していたときに「パパとママって、あまり仲良くないよね?」と聞かれたことがあります。そのとき私は「いや、これが普通だよ」と笑いながら答えました。
長年連れ添った熟年夫婦というのは、会話の量が少なくなったり、一緒に出かける機会が減ったりするものです。それが「仲が悪い」というわけではなく、むしろ自然な流れなのだと思っています。
子供が独立して夫婦二人きりになると、家の中が静かになり、これまでの日常とはまったく違う空気が流れ始めます。
我が家でも、今年から二人暮らしがスタートし、「こんなにも静かだったんだな」と改めて実感するようになりました。
「熟年夫婦は仲が悪くなるのか?」と心配する人も多いようですが、私はそうは思いません。夫婦の関係性は人それぞれで、仲良くすることが正解というわけではなく、それぞれが心地よく過ごせる距離感を見つけることが大切なのだと感じています。

夫婦の会話が減るのは自然なことです。子供がいる間は、夫婦の会話の大半が「今日、学校で何があった?」「塾の送り迎えは?」といった子供に関する話題でした。
しかし、子供が巣立つと、そうした話題は自然となくなり、「何を話せばいいのかわからない」と感じることもあります。でも、無理に会話を増やそうとする必要はないと思っています。長年一緒にいるからこそ、沈黙が心地よい関係というのもあるのです。
「熟年夫婦の関係性が変わる」とよく言われますが、重要なのは「仲が悪くならないための距離感」を見つけることです。
例えば、夫が定年後に家にいる時間が増え、妻がストレスを感じる「夫源病」という言葉を聞くことがあります。これは、夫が四六時中家にいることで、妻の生活リズムが崩れ、精神的な負担が増す現象のことです。
しかし、私は妻と適度な距離を保つことが、互いに快適に過ごすコツだと考えています。
たとえば、妻はK-POPに夢中になり、私はゴルフと登山を楽しむ。それぞれが自分の趣味を大切にし、無理に一緒に行動しようとしないことで、お互いがストレスを感じることなく生活できます。
「せっかく二人になったのだから、もっと一緒に過ごそう」と無理に誘うのではなく、自然な流れで一緒に楽しめる時間を作る方が、より良い関係が築けるように思います。
夫婦の会話が減ったからといって「仲が悪くなった」と決めつける必要はありません。それよりも、夫婦関係を見直し、お互いが心地よいと思える距離感を探ることが大切です。
例えば、「無理に会話を増やそうとしない」ことも、一つの方法かもしれません。義務的な会話ではなく、自然な会話が生まれる関係を大切にすることが重要です。
また、「共通の楽しみを見つける」ことも、夫婦の関係をより良いものにする要素の一つです。我が家では、たまにおいしいお店を探して外食をすることが共通の楽しみになっています。
特別なことをしなくても、「今日は寿司でも食べに行くか」と軽く誘うくらいの距離感がちょうどいいのです。
さらに、「お互いの時間を尊重する」という意識も大切です。
夫婦だからといって、四六時中一緒にいる必要はありません。私が休日にゴルフや登山を楽しむ一方で、妻はK-POPに熱中する。それぞれが自分の好きなことを楽しみ、充実した時間を過ごすことで、夫婦関係にも良い影響を与えることができます。
ちなみに、私の友人夫婦は仲が良く、一緒にゴルフを楽しんでいるそうです。共通の趣味を持つことで、自然と一緒に過ごす時間が増え、ストレスなく関係を深められるのだとか。
私も妻に「ゴルフをやってみる?」と聞いたことがありますが、即答で「興味ない!」と返されました(笑)。こういう反応もまた、夫婦らしいなと思います。
子供が巣立った後の夫婦生活は、新たなフェーズに入ります。でも、それを「仲が悪くなった」と考えるのではなく、「新しい夫婦の形を作る時期」と前向きに捉えたほうが良いのではないでしょうか。
私たち夫婦のように、お互いに干渉しすぎず、それぞれの時間を楽しみながら、たまに一緒に過ごすくらいのスタンスが、ちょうど良いのかもしれません。
熟年夫婦のあり方に正解はありません。しかし、「会話が減った=仲が悪い」と決めつけるのではなく、新しい関係の形を見つけることが大切だと思います。
夫婦関係に悩んでいる人がいたら、ぜひ「無理に会話を増やそうとしなくてもいい」という考え方を試してみてください。そうすれば、自然とお互いが心地よく過ごせる距離感が見つかるかもしれません。
「夫婦二人になったら、こういう生き方もあるんだな」と思っていただければ嬉しいです。
