昨日、父の畑仕事を手伝ってきました。
昭和13年生まれの父は、今年でなんと88歳。もうすぐ米寿です。
その年齢を聞いただけでも「すごいな」と思うけれど、実際に一緒に畑に出てみると、その元気さに驚かされます。

去年は本当に心配でした。
帯状疱疹にかかって、痛みに耐えながら寝込んでいた時期がありましたし、ある日突然、様子がおかしくなって、病院で「突発性の認知症かもしれません」と言われたことも。
あのときの不安は、今でも胸の奥に少し残っています。
「このまま、もう父とは会話らしい会話ができなくなるかも…」
そんなことまでよぎって、なんとも言えない気持ちでした。
でも、ここ最近は体調も落ち着いてきていて、昨日はなんと、チェンソーを使って畑の上に生い茂った木の伐採をしていたんです。
88歳でチェンソーを扱うなんて、ちょっと信じられないですよね。
それどころか、私が斜面でフラフラしている横で、父はひょいひょいっと登って行って、テキパキと枝を落としていく。
思わず「おいおい、そっちが危ないんじゃないの?」って言いそうになりましたが、正直、私よりもずっと足腰がしっかりしているように見えました。
私はずっと事務系の仕事だったので、パソコンの操作や書類整理は得意だけど、農作業に関してはまるでダメ。
草の名前も、農具の使い方も、全然知りません。
父がやっていることを横で見て、「すごいなぁ」「どうやって覚えたんだろう」って思うばかりで、自分は何もできないまま今に至ってしまいました。
でも、こうやって父と一緒に畑に出ると、「元気なうちにいろいろ教わっておかなくちゃな」って、しみじみ感じます。
野菜の育て方、土の手入れ、季節の感覚…。
全部、父の体にしみついている知恵で、きっと本やネットには載っていないことばかりなんですよね。
父は、昔の話をぽつぽつとしてくれます。
「おれが子どもの頃なんか、食べるもんなかったからな。雑草みたいのばっか食ってたよ」って、笑いながら話すんです。
その笑顔には、苦労を笑いに変えてしまう強さがある気がして、私はいつも胸がギュッとなります。
長生きしてほしい。
それが一番の願いです。
でも同時に、父が大切にしてきた畑のこと、もっとちゃんと受け継げるように、元気なうちに少しでも多くを教えてもらいたいと思っています。
米寿、そしてその先へ。
父がこれからも変わらず畑に立ち続けられるよう、私も少しずつ農作業の“初心者”から脱していけたらいいなと思っています。
次は鎌の持ち方から教わろうかな。